施術しようとしない
- 森田宗孝
- 2023年2月9日
- 読了時間: 3分
更新日:2023年3月5日
50代の男性、Tさんが3月ぶりに施術に来られました。そのとき彼の施術をしてもいいのか、しないでおいた方がいいのか迷いました。彼の足(膝から下)がパンパンに腫れていたので。Tさんは糖尿病があり、昨年は脳梗塞で入院もされていました。麻痺は消えて退院され現在もお仕事を続けられていますが。この足のハレは、内科の問題からきているのでは?と不安になって施術すべきかを迷いました。
Tさんに「今回はどうされましたか?」と聞いたら、夜、外で作業をしていて暗いところに穴があって、そこに足が入って、倒れるときに右腕から転んだそうで、そのときから右肩と首筋が痛いとのこと。外傷ならできるかと思いましたが足のハレが気になったので、ぼくの身体に聞いてみました。施術してもいいかどうか。どうやって聞くのかというと、自分の横隔膜が内側にしまるか、ゆるんで広がるかで判断します。「施術をする」と頭の中で言って横隔膜がしまれば「No」、それは施術をしない方がいいということ。「施術をする」と言って横隔膜が広がれば「Yes」、このときは施術してもいいということ。
※ これは森田の指標です

↑:横隔膜(プロメテウス解剖学アトラス 医学書院より) 左が前から見たとき/右が後ろから

↑:横隔膜を下から見たところ
Tさんに対して、今日 ぼくが施術すべきかどうか身体に聞いてみたら「No」でした。確認のために聞き方を変えました。「施術しない」すると横隔膜が広がったので「Yes」。そうか、しない方がいいのか。でも彼は腕が痛いので仕事がきついと言ってる。Tさんに確認しました。熱はなく、しびれや麻痺もない。なので、肩だけでもやれたら、深入りしないように。結果は、上手くいきました。肩と首の痛みはへって、腕もだいぶ上がるようになったと喜んでもらえました。
後日談があります。
普段の施術では、施術をしてもいいのか、しない方がいいのか確認はしていませんでしたが、今回のTさんのことがあったので、別な人で試してみました。施術20回目で、段階的に改善されて喜んでもらっているYさんのときに、自分の身体に聞いてみました。「施術する」で「No」がでました。あれ、なんで? Yさんは、ぼくにとって安心してできる人なのに。聞き直しました。「施術しない」横隔膜は広がったので「Yes」。うーん、誤作動なのか? ふと思い立ち別な聞き方をしました。「施術をしようとはしない」すると横隔膜のある下部肋骨が大きく外側へ広がました。「施術しない」の時よりも明らかに大きく伸びやかに。
なるほど、そういうことか。ぼくの「施術する」にNoがでたのは、ぼくの意図が強すぎて相手を圧迫してしまうからなんだ。身体は、それならしない方がましだと。でも、前がかった気持ちを外したなら、施術は受け入れてくれるんだ。
今日もチェックしました。お客さんが来られる直前の自分に「施術する」「施術しない」「施術しようとしない」 今日も同じ答えでした。「施術する」はNo、「施術しない」がYes、「施術しようとしない」が伸びやかに外に広がる確信の持てる Yes!! でした。

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