筋肉が教えてくれる
- 森田宗孝
- 2023年2月11日
- 読了時間: 4分
更新日:2023年2月22日
先日のブログ「施術しようとしない」で、ぼくが横隔膜(おうかくまく)で「やるか、やらないか」を決めていると書きました。その補足をここで。
ぼくが横隔膜をつかって良いか悪いかを判断していた方法のベースは、AK [Applied kinesiology] アプライド キネシオロジーです。AKは、アメリカのカイロプラクター:ジョージ グッドハートが1964年に考案した検査法です。「筋肉は身体に良いものには強く、悪い者には弱く反応する」という性質を利用しています。カイロプラクティックの検査でAKを使うというのは、全身の中で、問題となっている部位を探すとき「TL」セラピー ローカライゼーション、つまり施術する場所を特定する、ということ。初めに一つの筋肉を指標として決めて、その筋肉をテストして力の入り具合を確認します。それを基準にします。そして検査するときは全身の中から、これが問題かな?と考えられる部位を患者さんに触ってもらっておいて指標の筋をテスト。そのとき力の入り方が弱くなったら、そこが問題部位と考えられる、ということ。力が弱くならなかったら、痛みの原因はそこではないと推測できる。
身体にとって悪い刺激が入ると、筋肉は弱化する。これは身体のどの筋肉でも起こるので指標とする筋肉はどれを使ってもいいのです。が、疲れやすい部位は患者さんの負担になるので使いません。O-リングテストというのがあります。あれは指の筋肉を使っていますね。食べ物とか、薬とか、自分の身体にとって良い物か、悪いものかを判断するときに親指と人差し指で輪(リング)を作って、それを検査する人が開いてみて、リングが弱くなって開いてしまうか、しっかりしたままで開かないかどうか。
ということで、ぼくは自分のことを判断するときに横隔膜を使っているということです。 ※横隔膜も筋肉です

↑:NCAの認定証です。旧姓の「深井」で
以下は、AKの話の続きです。
ぼくがAKを知ったのは、カイロプラクティックを学んだNCA 日本カイロプティックアカデミーです。学長の角野(すみの)先生は、アメリカのナショナルカイロ大学で学ばれ、アメリカで臨床をされて、その後帰国され、日本にカイロプラクティック紹介された初期の人で、その角野先生がAKを使われていたのです。なので、NCAの卒業生はAKを使う人が結構います。東京の佐々木先生は広背筋を指標にして検査をされていました。愛知県蒲郡市の山下先生は大胸筋を指標の筋肉にして検査されています。
AKはどこまで信頼できるのか
NCAの講師の一人、名古屋のM先生は「AKは使わない」と言われます。術者の思い込みで筋力テストが正確にでないから、と。それはぼくも思い当たることがありました。一人の先輩の検査と施術を受けて、施術前と施術後の筋力テストを受けて「さっきより強くなったでしょう」と言われたのです。でもね先生、さっきの筋力テストと後のテストでは力の入れる方向が違っていましたよ。※筋力テストはベクトルを変えたら弱くも強くもできます。そのテストをしてくれた先生は誠実な人で尊敬できる先輩でした。そんな人でも自分の思い込みが入ってしまうのを感じたので、ぼくもちゃんとやってるつもりでも自分の予想にそって無意識に誘導してしまうことがあるだろうな、と思って自分のお客さんには基本的には使っていません。
でも、筋肉が身体にとって良いこと、悪いことを教えてくれるということは実感しているので、ぼくは自分の身体には聞きます。前述の佐々木先生と山下先生の筋力テストは熟練の域にあって、同じ形、同じ動きでリズミカルに筋肉にテストしていきます。あれを見たとき、術者が介入している余地はないだろうなって思いました。
最後に、筋肉はどんなことを教えてくれるのか、ということを
AKを使われているもう一人のNCAの先輩、名古屋市守山区でライブカイロ院をされている川島先生の経験談から。川島先生は薬剤師でありながら30歳のときにカイロプラクティックを学び初めた人。彼はNCAで学びながら、薬局で勤めてもいた。本格的な漢方も扱っていたそのお店で、川島先生は仲の良くなったお客さんには筋力テストをしていた。(参考としてです。遊び心がある人にだけ) その薬はその人に合っているのか、その人の筋肉に聞いていたのです。その川島先生から教えていただいたことです。「正露丸ってあるやろ。お腹を壊したときに使うやつ。あれって何か知っとる? ○○やで、あれって普通の人が飲んだら毒だで。でもね、お腹を壊した人に正露丸を持たせて筋をテストすると力が入るんやて。それでね、その人にね、次の日、正露丸を持たせて筋力テストすると落ちるんやわ、そりゃそうだわな。だって毒なんだもん。身体ってすごいよね、必要なときと不要なときと判断できるんだもんね」

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